作業環境
- BIG-IP Virtual Edition
- version 15.x.x
FQDN ノードを使用する
バーチャルサーバに紐づけるリアルサーバの IP アドレスが非固定の場合、FQDN(ドメイン名)でノードを設定し、DNS サーバを利用して名前解決するという方法を採ることが可能です。
以下では FQDN ノードを使用したバーチャルサーバの動作確認をしてみます。
検証環境
検証環境の構成は以下の通りです。
※実際には DNS サーバはクライアントと同一マシン上に構築しています
BIG-IP の設定
DNS サーバの設定
BIG-IP での名前解決時の問合せ先となる DNS サーバを設定します。
Main タブの [System > Configuration > Device > DNS] を選択します。
以下画面で、[DNS Lookup Server List] 欄の Address 欄に DNS サーバの IP アドレスを入力し [Add] をクリックします。リストの中に DNS サーバの IP アドレスが追加されたことを確認し、画面一番下の [Update] をクリックします。
CLI で動作確認してみます。
[root@big-ip01:Active:Standalone] config # nslookup CentOS8-HTTPS.test.com
Server: 192.168.75.1
Address: 192.168.75.1#53
Name: CentOS8-HTTPS.test.com
Address: 192.168.75.134
[root@big-ip01:Active:Standalone] config #
名前解決できることが確認できます。以上で DNS サーバの設定は完了です。
FQDN ノードをメンバとするプールの作成
今回は Web サーバ CentOS8-HTTPS.test.com
の 1 ノードをメンバとするプールを作成します。
プールの新規作成画面を開きます。
プール作成画面の [New Members] 欄で FQDN ノードを追加します。New FQDN Node を選択し、[FQDN] 欄に Web サーバの FQDN を入力と Service Port の指定をして Add します。その他の項目も必要に応じて設定して画面下部の [Finished] をクリックします。
作成されたプールの Members を見てみると、以下のように FQDN と IP アドレスのメンバーが表示されていました。
バーチャルサーバへのプールの適用
バーチャルサーバの細かい設定については省略しますが、プールについては Default Pool として上で作成したプールを指定します。
クライアントでの接続確認
クライアントから Web サーバ(バーチャルサーバの IP)にアクセスします。
結果、Web サーバのコンテンツが表示されることを確認できました。
FQDN ノードに関する注意すべき設定項目
上述のように Pool の設定の中で FQDN ノードを追加する場合は設定できる項目が限られます。
ノードの新規作成から実施すると以下画像の項目を設定できます。
※ノード作成後にノードの編集画面から設定変更することが可能です
Configuration > Health Monitors ではノードのヘルスモニタを設定できます。デフォルトでは Node Default (ICMP)
であり、その他 Node Specific (既存のモニタ設定から指定) か None (モニタなし) から選択できます。
FQDN > Auto Populate は、DNS クエリの結果複数の IP アドレスが返された場合にすべての IP アドレスについて動的にノードを作成するか (Enabled)、最初の 1 IP アドレスについてのみ動的にノードを作成するか (Disabled) を指定します。デフォルトは、Pool 作成画面から FQDN ノードを作成する場合は Enabled、ノード作成画面から FQDN ノードを作成する場合は Disabled と、作成方法によってデフォルト値が異なるため注意が必要です。
FQDN > Interval は DNS クエリの間隔を指定できます。デフォルトは 3600
秒です。チェックボックスをチェックすると DNS サーバ側の TTL 設定を使用し、TTL が切れたら DNS クエリが実行されることになります。デフォルト値だと DNS サーバ側のレコードの IP アドレスが更新されても BIG-IP 側ではしばらく IP アドレスが更新されない可能性があるため注意が必要です。(DNS クエリの間隔が長いため。)
FQDN > Down Interval は DNS クエリに失敗した後、対象ノードをダウンステータスに変更するまでの待機時間です。デフォルトは 5 秒です。