BIG-IP Virtual Edition とは
BIG-IP Virtual Edition(以下、BIG-IP VE と表記)とは、VMware ESXi 等のハイパーバイザ上に構築して使用することができる BIG-IP の仮想版です。
BIG-IP VE を利用するためにはライセンスが必要ですが、30日間無料で使用できるトライアルライセンスが F5 社から提供されているため、ある程度の機能は誰でも無料で使用することができます。
以下では、トライアルライセンスを BIG-IP VE に適用して検証のために使用できる状態にするまでの手順を記載します。
MyF5 アカウントの作成
まず、MyF5 のアカウントを作成する必要があります。
以下のページにアクセスします。
以下画面で「サインアップ」をクリックします。

以下画面では名前、メールアドレス、国、パスワードを設定して「登録」をクリックします。

以下の画面となり、設定したメールアドレス宛にアクティベーション用のメールが届きます。

以下のような内容のメールが届くため「Activate Account」をクリックします。

ブラウザで以下のアカウント情報設定画面が開かれるため、各情報を入力し「Complete registration」をクリックします。「*」マークがついている項目が設定必須です。

以下のようなアカウントのマイページが表示されます。

これでアカウントの作成は完了です。
BIG-IP VE トライアルライセンスの取得方法
MyF5 にログインし、トップページにある「TRIALS >」をクリックします。

表示された Trials ページの「BIG-IP VE & BIG-IQ VE」カードの中にある「Start free trial」をクリックします。

以下の輸出規制の確認画面が表示されるため、「No,~」を選択して「Save」をクリックします。

少し待つと、画面下の My Trials 欄に以下のように BIG-IP VE & BIG-IQ VE Free Trial が表示されるため、そのリンクをクリックします。

表示される画面の下部に Registration keys 欄がありその中に BIG-IP VE の Registration Key が 2 つ表示されています。これを使用して BIG-IP VE をアクティベーションできます。

上の画面に表示されている Registration Key はアカウントのメールアドレス宛にも送信されます。
トライアルライセンス申請がペンディングされる場合がある
Trials ページの「BIG-IP VE & BIG-IQ VE」カードの中にある「Start free trial」をクリックした後、以下のように表示される場合があります。
Pending approval
Trial fulfillment on hold, pending approval from F5 Inc.

こうなる原因は不明ですが、この表示になった場合、一定期間(数時間~数日単位)待つとトライアルライセンス取得まで進むケースと、この状態からいつまで待っても進まないケースがあります。
アカウント登録の際にあまりにいい加減な情報で登録すると申請が通らないという情報もあったため、ペンディング状態から進まない場合はアカウント作成をし直すということも試してみてください。
BIG-IP VE イメージファイルのダウンロード方法
例として、VMware ESXi 用のイメージファイルのダウンロード手順を記載します。
MyF5 にログインし、上部のメニューから RESOURCES > Downloads と選択します。

以下の Downloads 画面となるため、Group で「BiG-IP」を選択、Product Line、Product Version で任意のバージョンを選択します。

下側の Select a product container 欄にリストが表示されるため、Name が「<Version>_Virtual-Edition」となっている行の中から任意のバージョンを選び、左側のラジオボタンをクリックして選択します。

ページの更に下側に Select a download file 欄が表示されるため、リストの中から「BIGIP-<Version>.ALL-vmware.ova」を探し、左側のラジオボタンをクリックして選択します。

ページの一番下に以下のように表示されるため、Download locations で JAPAN を選択し、右側の「Download」をクリックします。

するとファイル保存画面が表示され、ファイルのダウンロードを開始できます。
VMware ESXi での BiG-IP VE のインストール手順
ESXi 管理画面で「仮想マシンの作成/登録」をクリックします。

作成タイプとしては「OVF ファイルまたは OVA ファイル~」を選択します。

以下の画面では仮想マシン名を設定し、BIG-IP VEのイメージファイルを選択します。

ストレージの選択では必要に応じてストレージを選択します。

以下の画面では右下の「同意します」をクリックした上で次に進みます。

デプロイのオプションでは、BIG-IP VE の各インターフェースの接続先となるポートグループを選択した上で次に進みます。

以下の画面では「完了」をクリックします。

仮想マシンのパワーオンと初回ログイン
作成した BIG-IP VE の仮想マシンをパワーオンします。(上に記載した通り設定した場合、仮想マシン作成後、自動でパワーオンされます。)
仮想マシンのコンソールを表示してください。
仮想マシンの起動が完了すると以下のようにログインプロンプトが表示されます。

以下のユーザ・パスワードでログインします。
- ユーザ:
root
- パスワード:
default
ログイン後、パスワードの変更を要求されるため、新パスワードを設定します。
- (current) BIG-IP password:
default
- New BIG-IP password:
<Enter new password>
- Retype new BIG-IP password:
<Enter new password>
新パスワードを設定すると CLI 操作が可能となります。

BIG-IP VE の初期設定とアクティベーション
管理 IP アドレスの設定
BIG-IP VE に管理アクセスするための管理 IP アドレスを設定します。
まず以下コマンドで Traffic Management OS (tmsh) モードに移行します。
- config #
tmsh
次に以下コマンドで管理 インターフェースの DHCP を無効化します。
- (tmos)#
modify sys global-settings mgmt-dhcp disabled
次に以下コマンドで管理インターフェースの IP アドレスと、必要に応じてデフォルトゲートウェイを設定します。
- (tmos)#
create sys management-ip <IP address/Prefix length>
- (tmos)#
create sys management-route default gateway <Nexthop address>
設定例:
create sys management-ip 192.168.75.100/24
create sys management-route default gateway 192.168.75.1
設定後、以下コマンドで設定を保存します。
- (tmos)#
save sys config
GUI へのアクセス
管理 IP アドレスを設定できたら、ブラウザから「https://<管理 IP アドレス>
」にアクセスします。
Chrome を使用している場合、以下のように警告画面が表示されるため、詳細情報を表示してアクセスを続行します。

以下のログイン画面が表示されるため、以下のログイン情報でログインします。
- Username:
admin
- Password: CLI 初回ログイン時に設定したパスワード

admin ユーザのパスワードを再設定する必要があるため、再設定します。
- Current Password: 変更前のパスワードを入力
- New Password/Confirm: 新パスワードを入力

パスワード設定後、ログイン画面に戻るため、新しいパスワードでログインします。

BiG-IP のアクティベーション
GUI でログイン後、以下の画面になります。「Next」をクリックします。

次の画面では「Activate」をクリックします。

次の画面では、以下の通り設定して「Next」をクリックします。
- Base Registration Key: MyF5 で取得した BIG-IP VE の Registration Key を入力
- Activation Method: Manual を選択

次の画面では、以下を実施します。
- Manual Methode で Download/Upload File を選択
- Step 1: Dossier 欄の Click Here To Download Dossier File をクリックして Dossier ファイルをローカルにダウンロードする

Dossier ファイルをダウンロードできたら、BiG-IP の画面はそのままにしておいて一旦以下のページにアクセスします。
以下の画面の下部で「ファイルを選択」をクリックして BiG-IP からダウンロードした Dossier ファイルを選択し、Next をクリックします。

次の画面ではチェックボックスにチェックを入れて Next をクリックします。

次の画面では「Download license」をクリックしてライセンスファイルをローカルにダウンロードします。

ライセンスファイルをダウンロードできたら、BiG-IP の GUI に戻ります。
Step 3: License 欄の「ファイルを選択」をクリックしてダウンロードしておいたライセンスファイルを選択し、Next をクリックします。

その後少し処理を待ち、以下の画面が表示されたら Continue をクリックします。

この後、Setup Utility ›› Resource Provisioning 画面が表示されるため、画面下部の Next をクリックします。

次の画面でも Next をクリックします。

次の画面では基本設定ができますが、最低限ホスト名と root パスワードの入力が必要なためそれらを入力し、Next をクリックします。

以下の画面が表示されるため Finished をクリックします。

以下の画面となります。

以上で BiG-IP のアクティベーションは完了です。
この後は自由に BiG-IP を設定して検証を行うことができます。
トライアルの期限が過ぎた後の再申請
my.f5.com でトライアルライセンスを申請した後、30日後にトライアルライセンスの期限が切れ、取得したトライアルライセンスは無効になります。
トライアルライセンスの期限が切れると、my.f5.com のマイページ上では再度トライアルライセンスの申請ができるようになります。そのため、再度トライアルライセンスを利用したい場合は申請を再度行えば OK です。申請方法は初回の申請時と同じです。