はじめに
Cisco Mobility Express 対応の AP では、マスター AP のバージョンと従属する AP のバージョンが一致していなければ AP はマスター AP へ従属することができません。
また Mobility Express では、マスター AP と従属する AP のバージョンが異なっている場合に、他製品で良くある、従属しようとしている AP がマスター AP(コントローラ)から OS データを取得して自動でバージョンをマスター AP(コントローラ)に合わせるといったことはできません。
そのため、未従属の AP については個別に手動でバージョンアップを行う必要があります。
ここでは、マスター AP(Mobility Express)のバージョンアップおよび従属 AP のバージョンアップ方法について記載します。
なお、マスター AP(Mobility Express)をバージョンアップすると、既に従属済みの AP についても同時にバージョンアップされます。
以上から、シナリオとしては以下の 2 つが考えれれます。
- 既に構築済みの Mobility Express において、マスターと従属済み AP 全体についてバージョンアップする
- Mobility Express に対して新規に従属 AP を追加するために、従属させる AP のバージョンを Mobility Express と合わせる
検証機器
- AIR-AP1852I-Q-K9
OS ファイルについて
イメージファイルは zip で取得できますが、これを解凍してから使用します。
中には以下のファイルが含まれます。
ap_supp_list.inc
ap1g1
ap1g4
ap1g4-capwap
ap1g5
ap1g6
ap1g6a
ap1g7
ap1g8
ap3g2
ap3g3
apname_decoder.inc
c3700
version.info
機器型番によって使用するファイルが異なります。
apname_decoder.inc
をテキストエディタで開くと以下のように型番とファイル名の対応付けが記載されているため、この内容から使用するファイルを特定します。
/*AP Models and their Associated Image Names*/
AP1850(ap1g4)
AP1830(ap1g4)
AP4800(ap3g3)
AP3800(ap3g3)
AP2800(ap3g3)
AP1560(ap3g3)
IW6300(ap3g3)
ESW6300(ap3g3)
AP1815i(ap1g5)
AP1815w(ap1g5)
AP1815m(ap1g5)
AP1540(ap1g5)
AP1840(ap1g5)
AP1850 シリーズであれば ap1g4
ということになります。
マスター AP(Mobility Express)のバージョンアップ
Mobility Express のバージョンアップは GUI で行います。
OS ファイルの転送方法は HTTP や TFTP などを選択できます。
GUI にログインし、エキスパートビューモードとします。
左メニューから [管理 > ソフトウェアアップデート] を選択します。
HTTP でファイル転送する場合
転送モードで HTTP を選択します。その後ファイル欄の [参照] をクリックし、使用する OS を選択します。バージョンアップ後は再起動が必要ですが、自動再起動にチェックを入れるとバージョンアップ後に自動で機器が再起動します。
[更新] をクリックするとファイル転送とバージョンアップが開始されます。
Mobility Express と従属する AP のバージョンアップが実施されます。
TFTP でファイル転送する場合
TFTP でファイル転送する場合は、OS ファイルが入った zip ファイル解凍後のフォルダをそのまま丸ごと TFTP サーバに格納しておく必要があります。
転送モードで TFTP を選択します。TFTP サーバの IP アドレスを指定し、ファイルパスでは OS ファイル一式が格納されているフォルダのパスを指定します。バージョンアップ後は再起動が必要ですが、自動再起動にチェックを入れるとバージョンアップ後に自動で機器が再起動します。
[更新] をクリックするとファイル転送とバージョンアップが開始されます。
Mobility Express と従属する AP のバージョンアップが実施されます。
従属 AP のバージョンアップ
従属 AP を個別にバージョンアップする場合はその AP の CLI で行います。
ファイル転送は TFTP で行うため、AP とネットワーク接続できる TFTP サーバを用意し、使用する OS ファイルを TFTP サーバに格納しておきます。
その後 AP の CLI にログインし、特権モードで以下コマンドを実行します。これによって TFTP サーバからファイルを取得しバージョンアップが行われます。
archive download-sw /reload tftp://<TFTPサーバIP>/<OSファイルパス>
コマンド例:
#archive download-sw /reload tftp://10.1.10.4/ap1g4
※ TFTP サーバのルートフォルダに OS ファイル ap1g4 を格納している場合の例です
Lightweight AP のバージョンアップ
Lightweight AP とは以下のような AP です。
- ワイヤレス LAN コントローラ(WLC)に従属させることを前提とした AP
- AP 単体では使用できない
- Mobility Express 機能を持っていない(WLC にはなれない)
Lightweight AP か Mobility Express 機能を持つ AP かは、機器にインストールされている OS によって変わってきます。
Lightweight AP のバージョンアップを行う場合は、 Lightweight AP 用の OS ファイルを使用してバージョンアップすることになります。
Lightweight AP 用の OS ファイルは .tar
形式として Cisco Software Download サイトからダウンロードできます(例:ap3g3-k9w8-tar.153-3.JPK2.tar
)。これを解凍せずに AP に転送して使用します。
バージョンアップ方法は、前項目に記載している従属 AP のバージョンアップと同様に archive
コマンドで行います。
Lightweight AP の OS ファイルのバージョン確認方法
Lightweight AP 用の OS ファイルは、そのファイル名からはバージョンがいくつなのかを確認できません。
バージョンを確認するためには、.tar ファイルを解凍し、解凍されたフォルダ内にある info
または info.ver
ファイルの内容を確認します。これらはテキスト形式のため、テキストエディタで開くことができます。
image_family: xxxxx
ws_management_version: x.x.x.x '<-------この値が OS バージョン'
info_end:
ws_management_version:
の値が OS バージョンに該当します。
参考資料

【PDF】Lightweight アクセス ポイントに関する FAQ