Cisco Packet Tracer(以下、Packet Tracer) を使用してお手軽にネットワーク構築経験を積んでしまおうというシリーズです。
・Packet Tracer のインストール方法についてはこちら
・Packet Tracer の基本的な使い方はこちら
作業環境
- Packet Tracer バージョン 7.3
機器設置と初期 CLI 表示の確認
Packet Tracer を開きます。
以下の画像のように、C3560-24PS を1台設置します。
設置した C3560-24PS をクリックしてウインドウを表示させた後、 CLI タブをクリックして CLI を表示します。
以下画像のように起動ログが表示された後 --- System Configuration Dialog ---
と表示されているかと思います。その後、Would you like to enter the initial configuration dialog?
と表示されますが、Cisco 機器を初期状態で起動すると初期設定ダイアログを表示するかを選択することになります。
実際の業務で初期設定ダイアログを使用することは無いため、no
と入力し Enter を押下します。その後 switch>
と表示されることを確認します。
特権モードへの移行
各種コマンドを使用するために特権モードへ移行します。en
(enable
の省略形) と入力します。
以下画像のように switch#
と表示が変わったことを確認します。
機器型番とファームウェアバージョンの確認
機器型番とファームウェアバージョンを確認してみます。
特権モードへ移行した状態で、show version
コマンドを実行します。
上の画像のように --More--
と表示されたかと思いますが、デフォルトではコマンド出力は 1 ページずつの表示となります。出力の続きを表示するためにはスペースキーまたはエンターキーを押下します。
- スペースキー → 次の 1 ページを表示
- エンターキー → 次の 1 行を表示
show version
の出力を最後まで表示すると以下の画像のようになります。
赤枠の部分で機器の型番が WS-C3560-24PS
、ファームウェアのバージョンが 12.2(37)SE1
であることが確認できます。
コンフィグの確認
コンフィグについての基礎知識
Cisco 機器においては以下の 2 種類のコンフィグが存在します。
- running-config
- 現在稼働中のコンフィグです。このコンフィグに基づいて機器が動作します。
- 機器の電源が OFF になったタイミングで消失します
- startup-config
- 機器が起動した際に読み込まれ、running-config へコピーされるコンフィグデータです
running-config の確認
show run
コマンドで running-config を確認できます。
startup-config の確認
show start
コマンドで startup-config を確認できます。
デフォルト状態では上画像のように、startup-config が存在しない旨が表示されます。
running-config の保存
設定変更をした場合、running-config のみに反映され startup-config には反映されません。現在の running-config を startup-config へコピーして次回起動時に読み込ませるためには、以下のいずれかのコマンドを実行します。
write memory
copy run start
- こちらのコマンドの場合、確認メッセージが表示されます
フラッシュメモリ内のファイルの確認
show flash:
コマンドでフラッシュメモリ内のファイルを確認することができます。
Vlan ID と vlan.dat
Vlan ID を作成すると、フラッシュメモリ内に Vlan 情報を保存した vlan.dat というファイルが作成されます。
試しに Vlan ID を作成してみます。以下の順にコマンドを実行します。
conf t
- グローバルコンフィグモード(設定変更するためのモード)へ移行
vlan 100
- Vlan ID 100 を作成
end
- グローバルコンフィグモードから特権モードへ移行
show flash:
- フラッシュメモリ内ファイルの表示
上画像のように、フラッシュメモリ内に vlan.dat というファイルが追加されていることが確認できます。
機器の初期化方法
機器の初期化をする場合は、以下 3 つの操作を行います。
- startup-config の削除
- vlan.dat の削除
- 機器の再起動
startup-config の削除
write erase
コマンドを実行することで startup-config を削除できます。
vlan.dat の削除
delete flash: <ファイル名>
コマンドで指定したファイルをフラッシュメモリから削除できます。
vlan.dat を削除する場合のコマンドは delete flash: vlan.dat
となります。
ただし、Packet Tracer では実機と異なりファイル名を指定したコマンド実行ができないため、ファイル名指定無しで delete flash:
を実行した後で、ファイル名を別途指定するという手順になります。
vlan.dat 削除後、フラッシュメモリ内から vlan.dat が削除されたことを確認します。
機器の再起動
reload
コマンドで機器の再起動を行います。
reload
コマンド実行後、System configuration has been modified. Save?
と表示され、コンフィグを保存するかどうかを聞かれますが、保存しないため no
と入力します。
再起動後、以下画像のように初期設定ダイアログを表示するかどうかを聞かれること(=初期化されていること)を確認します。
CLI のモードについて
Cisco 機器の CLI モードとしては以下があります。
- ユーザEXECモード
- ログイン直後のモード
- プロンプトは
>
- 特権EXECモード
- 各種 show コマンドなどが実行できるモード
- プロンプトは
#
- グローバルコンフィグレーションモード
- グローバルコンフィグの設定が実施できるモード
- プロンプトは
(config)#
- 各種コンフィグレーションモード
- 指定項目の設定が実施できるモード
- プロンプトは例えばインターフェースであれば
(config-if)#
Cisco 機器の設定変更の流れ
Cisco 機器で設定変更する際の流れは以下の様になります。
- 機器へログイン
en
コマンドで特権モードへ移行- 必要に応じて作業前のログを取得
conf t
コマンドでグローバルコンフィグモードへ移行- 各種設定変更を実施
end
コマンドで特権モードへ移行write memory
コマンドでコンフィグを保存- 必要に応じて作業後のログを取得
- 機器からログアウト
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