デジタルサイネージとは
デジタルサイネージ(電子看板)とは、商業施設などにおいて各所に設置されたモニタにデジタルコンテンツ(静止画、動画)を表示させる方式の広告媒体のことです。商業施設においては、施設に関する様々な情報や施設内で実施されるイベント情報を表示させて集客に利用したり、広告媒体として枠を販売して収益化していたりします。
電車内によくある、路線図やニュースや天気予報などを表示させているモニタもデジタルサイネージと言えると思います。
ここでは、商業施設などで導入されることが多いクラウド型デジタルサイネージを対象とします。ネットワーク構成図におけるデジタルサイネージ設備を以下の図に示します。

上の構成図の赤背景を付けている機器がデジタルサイネージに関係している機器です。
デジタルサイネージの仕組み
クラウド型デジタルサイネージでは、サービスプロバイダが提供するクラウドの管理システムを利用して、デジタルサイネージに表示させるコンテンツを管理しています。
デジタルサイネージに関係するものとしては以下があります。
CMSサーバ
CMS( Contents Management System )は、サービスプロバイダが提供する、デジタルサイネージに表示させるコンテンツを管理するためのシステムです。CMSサーバはクラウド上に存在します。コンテンツ管理者はCMSサーバのウェブ画面にアクセスしてコンテンツ管理を行います。CMSを提供するサービスプロバイダはパナソニック、シャープ、NECなどいくつか存在します。
STB
STB(Set Top Box)は、モニタに表示させるコンテンツを保存およびモニタへの配信をする機器です。デジタルサイネージ専用の小型PCと考えて良いと思います。STBはCMSサーバからコンテンツの配信を受けてローカルに保存します。
モニタ
コンテンツを表示させるモニタです。STBとHDMI接続されています。STBとモニタの設置場所が離れている場合は、コンバータを使用してHDMIを一旦光ケーブルに変換してから再度HDMIに変換しなおしてモニタとSTBを接続することもあります。
モニタでコンテンツが表示されるまでの流れ
- CMSサーバ上でSTBごとに表示コンテンツを登録し、スケジュール設定する
- CMSサーバからSTBへコンテンツを配信し、STBのローカルに保存する
- STBからモニタへコンテンツを配信する
- モニタでコンテンツが表示される
デジタルサイネージの保守運用では何をしているのか

ネットワーク管理者としてのデジタルサイネージの保守運用では主に以下の業務を行います。
- 定期点検
- 障害対応
- 設備追加、撤去対応
定期点検
STBとモニタの稼働状況の確認を行い、各機器が正常に動作していことを確認したり清掃を行ったりします。モニタは来館者が往来する場所に設置されているため、埃が付着したりして意外と汚れます。
障害対応
STB、モニタ、送受信機(光/HDMI変換機)のどれかが故障するとモニタでコンテンツが正常に表示されなくなります。障害発生時は、切り分けを行い復旧させます。
事例としては例えば以下があります。
- モニタがブラックアウトしている → STBの故障、光/HDMI変換機の故障、モニタの電源故障
- モニタ映像に筋が出ている → モニタ液晶故障
- モニタ映像がフリーズしている → STBのフリーズ、光/HDMI変換機のフリーズ
- モニタ映像の表示サイズが小さい → モニタの表示サイズ設定が変わっている
設備追加、撤去対応
モニタの増設、撤去をエンドユーザの依頼に基づき実施します。対応発生頻度は現場次第だと思いますが、運用フェーズでは多くはないと考えて良いと思います。
終わりに
クラウド型のデジタルサイネージはネットワークを利用することになるため、ネットワークエンジニアとしてもかかわる可能性のある設備と言えると思います。仕組みや機器構成や障害事例を知っておくことで対応がスムーズにできるため、覚えておいて損はないでしょう。
今回はここまでにしておきます。それでは。