IP電話設備のネットワーク構成
IP電話設備の保守運用業務の説明をするために、まずIP電話設備の概要について説明します。
ネットワーク構成としては、簡単に示すと大体以下の図のようになっています。ただし、現場によって違う部分もあると思うので、一例として考えてください。

IP電話設備に関係している機器は以下があります。
- PBX
- IP電話
- アナログ電話
PBX(Private Branch Exchange )
PBXは、外線電話および内線電話の着信をコントロールする交換機です。
- 外線番号については、キャリア(NTT東日本など)と契約して、アナログ回線(アナログ電話の場合)または光回線(ひかり電話の場合)をPBXに接続することで、取得した外線番号の着信をPBXでコントロールできるようになります。
- 内線番号については、ローカルネットワーク内でのみ使用する番号で、PBXで任意に設定して使用できます。ただし、各内線番号は只一つの電話機にのみ対応付けることができます。
PBXで設定する項目については、例えば以下があります。
- 外線番号について
- その外線番号を着信させる電話機グループ(外線着信グループの設定)
- その外線番号で発信させる電話機グループ(外線発信グループの設定)
- 内線番号について
- 着信時にどの内線番号を一緒に鳴動させるか(内線着信グループの設定)
- 話中に着信した際にどの内線番号に転送させるか(話中転送グループの設定)
- その他様々な設定
IP電話
IPネットワークに接続して使用する電話機です。IP電話への給電方法については、LANケーブルを通して電源を供給します(POE方式)。そのため、IP電話が接続するスイッチはPOEスイッチである必要があります。
アナログ電話
アナログ回線に接続されている電話機です。アナログ電話は、メタルケーブルで直接PBXと接続されています。アナログ電話への給電方法については、メタルケーブルを通して局舎からの給電となり、停電時でも使用することができます。
IP電話設備の保守運用では何をしているのか

IP電話設備の保守運用ではPBX側の対応と電話機側の対応が発生します。
PBX側の対応
オフィスのレイアウト変更に伴う電話機の配置変更や、電話機の増設・移設が発生した際などに、電話機の運用に合わせたPBX側での設定変更が発生します。
例えば、総務部で使用していた電話機を移設して人事部で使用するとなった場合、移設する電話機の設定を人事部用の設定に変更します。
PBX側の設定に関しては、様々な設定項目があり理解するのはなかなか難しいのですが、 各設定項目についてエンドユーザとしっかり認識合わせして設定内容を決定しないと、運用中に意図しない動作をしてしまうことがあるため注意が必要です。(例えば、着信させたくない電話機で着信してしまうなど。)
電話機側の対応
電話機側では例えば以下の対応が発生します。
- 障害対応:音声が小さい、ノイズが入る、ボタンが反応しないなど
- 受話器故障 → 受話器の交換
- カールコード故障 → カールコードの交換
- 本体故障 → 本体の交換
- 外線着信ができない → キャリア側の設備の問題など
- 電話機増設、移設対応
- 増設する電話機本体の設定
- 電話機設置位置へのLANケーブルの用意
終わりに
オフィスでは必須の電話設備ですが、この設備もネットワークが利用されています。そのためネットワークエンジニアとして概要を知っておいて損はないでしょう。