はじめに
ネットワーク構築案件を対応する際には、詳細設計後に以下のような試験を実施します。
- 単体試験
- 結合試験
- 障害試験
- 移行試験 など
試験を実施する前には以下のような準備が必要となります。
- 試験項目の洗い出し
- 試験成績表フォーマットの作成
ここでは、試験項目の洗い出しについては完了している前提(または、対応範囲外の前提)として、試験成績表フォーマットの作成をどうするかについて議論します。
試験成績表のフォーマットの準備をどのように行うかについては以下のパターンがあります。
- 案件の契約上の上位会社から指定されたフォーマットを編集する
- 自社オリジナルのフォーマットを作成する
どちらのパターンになるかは案件によりますが、自社オリジナルのフォーマットを作成するとなった場合、既存の自社フォーマットが無い場合は新たにフォーマットを作成する必要が発生します。
この作業は、個人的にはあまり気が進まない作業であり、それなりの工数も必要になります。
この作業を効率化するために、一部を修正すればどの案件でも使用できるような汎用フォーマットをあらかじめ用意しておくことは効果があるのではないかと考えます。
現場によってはオリジナルフォーマットが既に存在しているとは思いますが、歴史の浅い現場などでは案件ごとに毎回フォーマットを考え直すという状況も発生しています。
試験成績表に記載する項目の整理
汎用的なフォーマットを作成するためには記載する項目を整理する必要があるため整理します。
一般的な項目
試験の種類によって試験成績表に記載する項目は若干変わってくると思いますが、以下のような項目を記載することが多いと思います。
- 項番
- 試験項目(大分類)
- 対象機器(型番、ホスト名)
- 試験内容(実施内容)
- 合否判断基準(想定される結果)
- 合否判定
- 備考
- 試験実施日
- 試験実施者名
試験内容別の項目
単体試験
単体試験の場合は以下のような試験項目が考えられます。
- OS バージョン確認
- シリアル番号確認
- ハードウェア正常性確認
- 起動確認
- LED 確認
- 外観確認
- 各種ユニット動作確認(電源、ファンなど)
- インターフェース動作確認(アップ、通信など)
- 継続稼働確認
- エラーログ確認
単体試験の試験成績表については、以下の2パターンが考えられますが、両パターン用意しておけば良いと思います。
- 機器別に各項目の結果を記載するフォーマット
- 項目別に各機器の結果を記載するフォーマット
結合試験
結合試験については、機器で使用している機能についての動作試験を行いますが、試験する機能は大体決まっていると思います。例えば以下のような項目です。
- インターフェース状態
- Up、Speed、Duplex
- Vlan ポート状態
- リンクアグリゲーション状態
- ストームコントロール
- STP 状態
- 冗長機能の状態(HSRP、VRRP、HA など)
- ルーティングプロトコルの状態
- ネイバー
- 学習ルート
- パスアトリビュート
- ルーティングテーブル内容
- ネットワーク端末間の通信
- 疎通確認
- 経路確認
- QoS
- 管理機能
- Syslog
- SNMP
- NTP
- 管理アクセスプロトコル(SSH、Telnet、Web)
- その他使用している機能
上の各項目について、試験内容と確認方法は大体決まっていると思います。項目ごとに試験成績表のフォーマットを作成できるのではないかと思います。
障害試験
障害試験では、ネットワークのどこかのポイントで筐体またはリンク障害を発生させ、障害発生前、障害発生中、復旧後のネットワークの状態を確認します。そのため試験成績表については障害ポイントごとに記載することになります。
その記載項目としては以下が考えられます。
- 障害ポイント
- 障害発生前の状態確認
- 端末間の疎通、経路
- 機器の各機能の状態
- 障害発生中の状態確認
- 端末間の疎通、経路
- 機器の各機能の状態
- 復旧後の状態確認
- 端末間の疎通、経路
- 機器の各機能の状態
障害試験については、一つの障害ポイントについて記載するためのフォーマットを作成しておけば良いと思います。そして障害ポイント分だけフォーマットをコピーして使用します。
移行試験
後日追記予定…
最初から完璧を求めない
初めからあらゆる試験項目に対応できるフォーマットを作成しようとすると終わりがありません。実際の案件で実施する試験項目についてのフォーマット作成から始めて、その後は必要になった項目を都度追加していくという方法もありだと思います。
顧客の要件に合わせた修正を行う
顧客からオリジナルフォーマットの試験成績表を使用するよう依頼された場合でも、顧客側に要件や好みがある場合はフォーマットの修正を行います。
同じ顧客であれば案件が変わってもフォーマットの要件が変わることは少ないと考えられるため、顧客ごとに最適化したフォーマットを用意しておいても良いと思います。
個人的にフォーマットを用意しておく
組織内で共通フォーマットが特に用意されていない場合でも、個人的にフォーマットを用意しておくことで、自分でのフォーマット作成の必要が発生したときに素早く提案を行うことができます。その案が通るかまたは微修正で済めばフォーマット作成の工数を減らすことができます。
業界共通のフォーマットがあってもおかしくはない
と思います。
ネットワークの試験についてはどの案件でも大体同じような項目を同じような方法で行っているのではないかと思います。
業界で標準化された試験項目、試験方法、試験成績表フォーマットがあれば、業界全体の業務効率化になるのではないかと思います。